第9回 ソノサポートセミナー Quest for UST ~症例検討会~
CASE-2 絞扼性イレウス(小腸)
( PDFはこちらから。印刷向きです ⇒ CASE2(回答・解説) )
F・・・受講者「超音波所見」
I・・・受講者「疑わしい疾患名・鑑別疾患名・治療への付加価値情報」
Q・・・受講者「講師に聞いてみたい事」
A・・・担当講師からの解説
1)F:小腸拡張像(+)。ループ状? ケルクリングひだ消失。腹水(+)。
小腸壁浮腫性肥厚像(+)
I:絞扼性イレウス
Q:癒着性イレウスとの鑑別
A:癒着性イレウスの場合は、術後に腸管同士の癒着や、腹膜との癒着や腫瘍などが原因で、何ら
かの形で通過障害(閉塞や狭窄)を起こし、閉塞を起こしたもので、腸管がloop像を呈してい
ないかの除外診断は重要であると思われる。絞扼性イレウスの場合は、血行障害(腸管壊死)が
起きているので、緊急性が必要である。
・癒着性イレウス(to and fro movement(+))
・絞扼性イレウス(to and fro movementの停止)
2)F:(初心者です)(記載なし)
I:イレウス
Q:高周波リニアはどういう時に使うのでしょうか?
A:高周波プローブで観察することにより、壁の浮腫や状態、または内膜面での出血を反映する高
エコー像の観察に適していると思われる。何の症例でも、高周波プローブは必要と思われる。
3)F:小腸拡張。ケルクリングひだみられない。to and froみられない。
I:絞約(扼)性イレウス疑い
4)F:腸管拡張。腹水。一部腸管壁肥厚。keyboard sign(+)。閉塞起点?
to and fro?
I:イレウス
5)F:右側腹部の小腸が拡張しています。腸管の動きはありません。
I:絞やく性イレウス
6)F:腸管壁の肥厚。液体貯留。
I:(記載なし)
7)F:腸管拡張あり。内部に一部沈殿物あり。閉塞機転ははっきりせず。
ケルクリングひだ消失あり。
I:癒着性イレウス susp.
8)F:腸管の拡張を認め、イレウスの所見を認めます。腸管壁の菲薄化、ケルク
リングの消失を認めます。また、ループを認め、クロース・ループ所見です。
I:こうやく性イレウス。 閉R/O。
9)F:小腸著名な拡張(+)。小腸内液体貯留(+)。ケルクリングひだ浮腫性
肥厚(+)。周囲Ascites(-)。
I:イレウス(絞扼性) susp.
10)F:右側腹部に拡張した腸管あり。脂肪織の集積なし。キーボードサインなし。
to and flow(fro)なし。
I:こうそく性腸閉塞
11)F:(記載なし)
I:(記載なし)
12)F:子宮壁肥厚?
I:(記載なし)
13)F:(記載なし)
I:(記載なし)
14)F:イレウス。壁肥厚(+)。
I:(記載なし)
15)F:(記載なし)
I:(記載なし)
16)F:腸内腔拡張?
I:(記載なし)
17)F:小腸拡張。蠕動運動(-)。
I:小腸イレウス(まひ性)
18)F:消化管拡張。キーボードサイン。
I:腸管イレウス。
19)F:(初心者です)小腸拡張。腹水? 腸管壁の肥厚。
I:イレウス
20)F:(初心者です)分かりません。ポリープ? 大腸の浮腫。
I:腸炎?
21)F:(初心者です)腸管拡張。腸管壁の3層構造(虚血?)
I:イレウス(虚血性、絞扼性)
22)F:(初参加)(記載なし)
I:絞 性イレウス
23)F:(初心者です)腸管拡張あり。内部に壁と同程度エコーの充実性
腫瘤。横断にて壁拡張。
I:(記載なし)
24)F:分かりません。
I:(記載なし)
25)F:(初心者です)分かりません。 ガス↑↑? 腸管内拡張?
I:(記載なし)
26)F:腸管拡張あり。to and fro(-)
I:(記載なし)
27)F:腸管拡張。壁肥厚した腸管から連続して虚脱した腸管あり。
I:イレウス
主例)F:部位は特定できないが、小腸の著明な拡張を認める。ケルクリングひだは消失し、
to and froも消失(一部残渣沈殿)しており、第一に複雑イレウスを疑う。
閉塞起点ははっきりしないが、浮腫性に壁肥厚した腸管と内腔が虚脱した腸管が
交わる付近と思われる。クローズドループを経験した事がないのでわからないが、
動画はおそらくループを表しているのだろう。腹水もあり危険な状態が示唆される。
I:絞扼性イレウス R/Oその他のイレウス
※運営中にて症例スライドや解説スライドは余り見られなかったので、あくまで参考程度で。
間違っているかもしれませんし(汗)。
平賀先生からの追加コメント
絞扼性は腸管虚血で壊死に陥っているかどうかが重要であり、クローズドループを
作っていない状態でも絞扼性はあります。
所見の書き方、英語の使い方、表現など、正しくは超音波専門医或いは、放射線医にご指導を
仰ぐことがベストです。身近にいない場合は、超音波専門医の指導を受け、定期的に学会に参加
してアップデートしている超音波検査士(技師)に相談されるのがベターです。相談を受けた検
査士は、自分で自信が持てない(経験外や十分なコンセンサスが無い)内容の時は、きっと専門
医やベテラン医師に相談してあなたに回答してくれると思います。
最も重要な事は、オーダーした依頼医が何を求めているのか、どんな報告を望んでいるかで
あり、十分なコミュニケーションと信頼関係の構築が大切です。
今回、診療放射線技師の方々に多数ご参加いただきました。心より御礼申し上げます。また、
記載のない方が多い中で、RTの方々は多数コメントを書かれており、大変ありがたかったです。
意味はほぼ同じなのですが、今後のため、超音波用語ついて説明させていただきます。
※LDAは超音波では、低エコー域或いは低エコーSOLなどと用います。
※周囲脂肪織の集積は超音波では周囲脂肪織の輝度上昇(isolation sign)などと用います。