第9回 ソノサポートセミナー Quest for UST ~症例検討会~
CASE-1 膵頭部癌による閉塞性黄疸
(門脈・脾静脈直接浸潤・リンパ節転移)
(PDFはこちらから。印刷向きです ⇒ CASE1(回答・解説) )
F・・・受講者「超音波所見」
I・・・受講者「疑わしい疾患名・鑑別疾患名・治療への付加価値情報」
Q・・・受講者「講師に聞いてみたい事」
A・・・担当講師からの解説
1)F:膵頭部に不整形充実整腫瘤像(+)。肝内胆管拡張。胆嚢腫大。リンパ節腫大?
No.8リンパ節腫大。
I:膵頭部Ca. LN meta.
2)F:(初心者です)膵管の拡張がある様に思えます。膵頭部にmassがある様な?
I:膵炎
3)F:胆嚢腫大。肝内胆管拡張。総胆管拡張。
I:総胆管結石疑い。胆管腫瘤疑い。膵頭部腫瘤疑い。
4)F:肝内胆管拡張。胆のう腫大。膵頭部に低エコー腫瘤。膵管拡張? 総胆管拡張。
LN腫大
I:膵頭部癌
5)F:膵頭部に低エコー腫瘤像を認めます。主膵管および肝内胆管が拡張しています。
胆嚢も腫大しています。リンパ節が腫大しています。
I:膵がん疑い
6)F:肝内胆管拡張(+)(肝左葉で目立つ)。CBDの拡張。膵頭部に低エコー腫瘤
を認める。肝門部リンパ節腫脹(+)。
I:膵頭部腫瘤
7)F:CBD拡張。膵頭部low echoic mass(+).IHBD dilatation.LN swelling(+).
膵頭部付近PD拡張(+)。GB腫大。壁肥厚なし。
I:膵頭部Ca,susp.
8)F:膵頭部に腫瘍性病変を認めます。その位置より尾側にかけて主膵管の拡張を
認めます。IHBD(+)B3=5mm B2=4mm。胆のう腫大(+)
I:pancreas carcinoma suspect.R/O IPMN.
9)F:Pancreas head low echoic mass.周囲LN腫大(+)。CBD dilatation.GB腫大。
I:Pancreatic cancer susp.
10)F:膵頭部低エコーmass.周囲リンパ節腫大。CBD拡張。肝内胆管拡張あり。
主膵管不整拡張。
I:(記載なし)
11)F:リンパ節腫大 or 膵腫瘤。 肝内胆管拡張 B2・B3。
I:(記載なし)
12)F:膵頭部異常。
I:(記載なし)
13)F:縦走査時、中央に低エコー域あり。
I:(記載なし)
14)F:胆嚢腫大。肝外胆管拡張。
I:閉塞性黄だん。
Q:腹圧?
A:息止めをして腹圧をかけると静脈の拡張が見られ、血管への浸潤の観察が可能に
なるので、できることは観察している。
15)F:IHBD拡張。 Pa head充実mass.GB腫大。Pa-head CBD。LN No.8 腫大。
I:(記載なし)
16)F:肝内胆管拡張。CBD拡張。リンパ節腫大。膵頭部低エコー腫瘤。膵管拡張。
主膵管不整拡張
I:(記載なし)
17)F:胆のう腫大。肝内胆管拡張。リンパ節腫大。膵頭部付近に腫瘤
I:十二指腸~膵頭部に腫瘍Susp,
18)F:肝実質粗い。肝内胆管拡張。膵頭部に腫瘤。総胆管拡張。腹水。
I:慢性肝炎。膵頭部腫瘤。
19)F:(初心者です)肝内胆管拡張。総胆管拡張?胆嚢腫大。CBD or 膵頭部に腫瘤?
I:(記載なし)
20)F:(初心者です)胆のうの後方エコー増強あり。胆管の拡張があるように見える。
胆泥がある?
I:胆のう炎
21)F:(初心者です)肝内胆管拡張あり。胆のう内にポリープ?結石?あり。
3管合流部腹側に低エコー内部不均一な腫瘤影あり。その先の拡張が
著明。肝門部正中側(左側)にリンパ節?(低エコー)
I:肝腫瘍による胆管拡張
22)F:(初参加)右季肋部走査にてCBDの途絶部。心窩部横走査にて肝内胆管拡張。
心窩部縦走査にて低エコーの...。
I:総胆管結石
23)F:(初心者です)心窩部横走査にて膵頭部にLDA(+)。辺縁不整。膵管拡張なし?
横走査にてCBD末端にLDA。胆のう胆管拡張なし。
I:(記載なし)
24)F:肝内胆管。GB腫大(+)? CBD拡張(+)。 結石(+)?
I:CBD拡張。結石。
25)F:(初心者です)肝実質あらい。分かりません。
I:肝炎。閉塞性黄だん。
26)F:膵頭部がやや黒っぽく見え、総胆管が拡張? 肝門部?リンパ節腫大あり。
I:(記載なし)
27)F:肝内胆管拡張。総胆管拡張。肝門部リンパ節腫大。
I:膵頭部低エコー腫瘤
主例)F:膵実質の加齢変化(軽度萎縮・輝度上昇・膵石なし・実質均質)。
膵頭部に約2㎝大の低エコー腫瘤あり。境界は明瞭だが、尾側膵管の拡張をきたしており、
第一に浸潤性膵管癌を疑う。(内部均一・後方エコー不変・血流スライド忘れた)
腫瘤は膵内胆管をまいており、CBD・IHBDの拡張より閉塞性黄疸の合併が示唆される。
腫瘤背側に膵実質はなく、膵背側への浸潤も否定できず。
腹圧による変化はどう解釈すれば良いか分からないが、脾動脈もまいており、動脈浸潤が
疑われる。また膵周囲リンパ節腫脹を認め、球形でリンパ洞エコーの消失よりリンパ節転
移を疑う。
I:浸潤性膵管癌疑い(T4,N1,M0)。 閉塞性黄疸。(BD3は5㎜あり外廔化は可能か)
※運営中にて症例スライドや解説スライドは余り見られなかったので、あくまで参考程度で。
間違っているかもしれません(汗)。また、田中先生が、他の方への解説の中で分かったの
ですが、私の所見の脾動脈は間違いで、脾静脈のようです。
平賀先生からの追加コメント
LN腫大をリンパ節転移とした根拠が乏しいように思います。私なら「リンパ節腫大がある」
で留めるように思います。リンパ門の見えないLN腫大は腹部で3.5MHzでは良くある。
所見の書き方、英語の使い方、表現など、正しくは超音波専門医或いは、放射線医にご指導を
仰ぐことがベストです。身近にいない場合は、超音波専門医の指導を受け、定期的に学会に参加
してアップデートしている超音波検査士(技師)に相談されるのがベターです。相談を受けた検
査士は、自分で自信が持てない(経験外や十分なコンセンサスが無い)内容の時は、きっと専門
医やベテラン医師に相談してあなたに回答してくれると思います。
最も重要な事は、オーダーした依頼医が何を求めているのか、どんな報告を望んでいるかで
あり、十分なコミュニケーションと信頼関係の構築が大切です。
今回、診療放射線技師の方々に多数ご参加いただきました。心より御礼申し上げます。また、
記載のない方が多い中で、RTの方々は多数コメントを書かれており、大変ありがたかったです。
意味はほぼ同じなのですが、今後のため、超音波用語ついて説明させていただきます。
※LDAは超音波では、低エコー域或いは低エコーSOLなどと用います。
※周囲脂肪織の集積は超音波では周囲脂肪織の輝度上昇(isolation sign)などと用います。