症例検討会 CASE5 回答・解説

第9回 ソノサポートセミナー Quest for UST ~症例検討会~

CASE-5 肝細胞癌(中分化型)

 

( PDFはこちらから。印刷向きです ⇒ CASE5(回答・解説) )

 

F・・・受講者「超音波所見」
I・・・受講者「疑わしい疾患名・鑑別疾患名・治療への付加価値情報」
Q・・・受講者「講師に聞いてみたい事」
A・・・担当講師からの解説

 1)F:肝右葉に充実性腫瘤像(+)。モザイクパターン。Halo(+)。ドプラによる血流(+)。
     肝ゾウ⇒LC。静脈拡張。
   I:肝細胞癌
   Q:B肝・C肝のPtの走査、見落とさないポイント。肝ゾウの区域の判断が苦手なので
     コツを知りたいです。
   A: 肝臓は腹部で一番大きな臓器であり、見落とさないポイントとしては、検査者がどこまで
      その肝臓を観察できたかの把握が大切である。観察できなかっ所を依頼者に返すことが
      重要と思っている。
      具体的な方法は文章では伝えにくいです…が、ワンアクション(えぐり走査)で肝臓を
      観察することだと思います。
      肝臓区域はあまり神経質にならずに、胆嚢が見え右側ならS5、左側S4、頭側S4、
      腎臓周囲S6,腎臓の頭側S7、左葉はsagitalで斜めに区域をS2,3としています。

   ※本ホームページでは図が表示できません。PDF版では解説図もあります。
   ( PDFはこちらから。 ⇒ CASE5(回答・解説) )

 2)F:肝S5に内部不均一なmassあり。周囲低エコー帯(+)。境界明瞭。血流(+)。
     後方エコー不変。
   I:肝腫瘤(肝細胞癌 susp,)

 3)F:辺縁低エコー帯を伴う、内部エコー不均一なモザイク状腫瘤あり。後方エコーやや増強。
     内部に血流(+)。側方陰影(+)? 円形、境界明瞭。
   I:HCC susp,

 4)F:形状不整。境界明瞭。内部血流(+)。中心部高輝度の高輝度腫瘤を肝S8に認める。
     (tumor in tumor様)。表面は不整で実質は均質な粗→CHパターン。
   I:HCC

 5)F:LC(+)。肝右葉に腫瘍性病変(+)。Halo(+)。血流(+)。肝静脈に浸潤?
   I:HCC susp,
   Q:パルスドップラー
   A:拍動性、定常性、静脈性の鑑別に使う。
      PV本幹の血流速度で肝硬変を診断していた施設もあったが、日内変動があり、
      あまり使われていないのでは?

 6)F:(初心者です)肝S5.6 辺縁明腫。内部モザイク状腫瘤。フロー(+)。
   I:HCC?

 7)F:肝実質粗雑。S8に腫瘤。血流(+)。Halo(+)。
   I:慢性肝炎 HCC

 8)F:肝内に境界やや不明瞭で血流(+)の腫瘤。Halo(+)。内部は不均一。
   I:HCC

 9)F:肝内部エコー粗雑。表面不整。Halo(+)。腫瘤内部エコー不均一(モザイク?)
     basket pattern(+)
   I:HCC

10)F:肝内にハローを有する腫瘤あり。血流ドプラ豊富。腫瘤内部は不均一。
     肝表面凹凸不整。
   I:肝細胞癌 疑い

11)F:肝S8 isoechoic mass(+)。 Halo(+)。後方エコー増強。mass内部に流入する
     血流(+)。肝表面凸凹。内部不均一。CH~LC pattern.
   I:HCC suspect S8

12)F:halo(+)。血流(+)
   I:肝細胞癌

13)F:(初心者です)(記載なし)
   I:転移性肝ガン
   Q:S6付近かな?ブルズアイサインかな?

14)F:(初心者です)肝腫瘤。S8。辺縁はlow。血流多い。内部:
   I:HCC

15)F:(初心者です)肝左葉に腫瘤影(低エコー不均一)。血流あり(周囲に有意)
   I:肝膿瘍?

16)F:肝は凸凹不整で内部粗雑。LC patternを疑う。S5に低エコーmass。境界比較的明瞭。
     境界に薄い低エコー帯(+)。内部は高い所見と低エコーと不均一。周囲からの血流(+)。
   I:LC pattern HCC

17)F:肝に境界明瞭な等エコー腫瘤あり。血流(+)。内部エコーやや不均一。
   I:(記載なし)

18)F:辺縁低エコー帯ありの肝腫瘤。肝硬変あり。
   I:HCC

19)F:(初心者です)肝実質粗。辺縁粗。
   I:肝硬変(HCV)

20)F:境界(明)。内部(不均一)。血流(+)。円形。
   I:(記載なし)

21)F:辺縁明瞭な腫瘤性病変。等エコー。フロー法にて血流(+)。
   I:(記載なし)

22)F:(初心者です)肝mass。円形。境界明瞭平滑。haloあり。血流あり。
     肝内血管拡張してる?
   I:肝腫瘍

23)F:S7に低エコー腫瘤像を認めます。内部不均質。一部高エコー領域があります。
     辺縁明瞭。血流が豊富です。
   I:肝血管腫。HCC。

24)F:腫瘍周辺に血流豊富。複数個。
   I:転移性肝癌。

25)F:肝膿瘍
   I:血管腫 わかりません。

26)F:辺縁低エコーS5/8。 側方陰影(+/-)。後方エコー増強(+)。被膜は比較的薄い。
     中心部に向かう血流あり。小さなhyperが中心にあり。nodule in nodule。
   I:HCC 単発3㎝以下 TACE RFAは無理。脈管に近い。

27)F:S6/7に肝腫瘤を認める(類円形)。辺縁低エコー帯(halo)を認める。内部に向かう
     血流(+)。内部不均一で nodule in nodule 様を呈す。後方エコー増強。
   I:HCC susp,

主例)F:肝右葉は萎縮し、肝表面凸凹、肝実質スペックルは不均質で肝硬変を疑います。
     肝右葉中心部に約3㎝大の等~低エコー腫瘤を認めます。腫瘤は類円形で、haloを有し、
     内部にはモザイクパターンを認めます。パワードップラーにてバスケットパターンを呈する
     腫瘍血管を認め、HCCを伺います。被膜外浸潤や門脈塞栓は否定的です。
   I:肝細胞癌(古典的)
   運営中にて症例スライドや解説スライドは余り見られなかったので、あくまで参考程度で。
    間違っているかもしれません(汗)。

  平賀先生からの添削
   ・肝右葉中心部 ⇒ 外側区域
    ・腫瘤の所見に追加 ⇒ 腫瘤は類円形で、境界明瞭、輪郭整、haloを有し、内部には
     モザイクパターンを認めます。

 所見の書き方、英語の使い方、表現など、正しくは超音波専門医或いは、放射線医にご指導を
仰ぐことがベストです。身近にいない場合は、超音波専門医の指導を受け、定期的に学会に参加
してアップデートしている超音波検査士(技師)に相談されるのがベターです。
相談を受けた検査士は、自分で自信が持てない(経験外や十分なコンセンサスが無い)内容の
時は、きっと専門医やベテラン医師に相談してあなたに回答してくれると思います。
 最も重要な事は、オーダーした依頼医が何を求めているのか、どんな報告を望んでいるかで
あり、十分なコミュニケーションと信頼関係の構築が大切です。

 今回、診療放射線技師の方々に多数ご参加いただきました。心より御礼申し上げます。また、
記載のない方が多い中で、RTの方々は多数コメントを書かれており、大変ありがたかったです。
意味はほぼ同じなのですが、今後のため、超音波用語ついて説明させていただきます。
※LDAは超音波では、低エコー域或いは低エコーSOLなどと用います。
※周囲脂肪織の集積は超音波では周囲脂肪織の輝度上昇(isolation sign)などと用います。